みんなが帰れる味の実家、よいこ出汁
日本1500、アメリカ133、フランス32。さてこの数字が表すものが何だかわかりますか?
これは実は食品添加物の認可数だ。食品添加物は各国によって使えるものが決まっていて、その種類が制限されている。そんな中で日本はアメリカの7倍。実は世界一の添加物王国だったのだ。
幅屋は広島市南区皆実町に店舗を構えるうどんの人気店。店主の苗代幅健友さんは埼玉県の所沢出身。なんと、うどんを始めるまではプロボクサーという経歴の持ち主だ。27歳の時に引退を決意するも、いわゆるスーツを着るような仕事をするイメージが湧かず、実家が「武蔵野うどん」のお店を営んでいたことから、「親父もできるのだから俺もできるだろう」とうどん屋への道を志したという。
もうひとつ苗代幅さんがうどんの道に進むきっかけとなったのは「讃岐うどん」との出会いだった。美味しいうどんがあるらしいと食べてみたら、今まで食べ慣れた太麺で硬い「武蔵野うどん」とはまた違い、伸びと弾力があって洗練されていると感じたそうだ。そうしてすぐに香川に飛んでうどんを食べ歩いた。関東の濃口醤油を使った色の濃いお出汁と違い、瀬戸内地域独特の澄んだいりこ出汁に「なんで色が薄いのにこんなに味がしっかりしているんだろう。」と衝撃を受ける。
すぐさま東京の讃岐うどんのお店で修行を積んだ後、9年前に奥さんの実家がある広島にて幅屋をオープンさせた。
広島にきて東京と一番違ったのは生産者との距離だったという。東京では物や値段ばかりを見ていて生産者の顔が見えなかったが、広島では農家さんが直接会いに来てくれて熱い想いをぶつけてくれる。そんな気合の入った生産者さんとの出逢いが多く、「自分のやっていることが中途半端で恥ずかしくなった。ゼロから作り直さなければダメだ」という思いに至り、さらに食に対してこだわりを強めるようになったそうだ。
そんな苗代幅さんが最もこだわっているのはお出汁だ。子供が生まれたことをきっかけに、世の中の添加物の多さについて考えるようになったという。そしてスーパーで出汁パックを買おうとした時に苗代幅さんが買いたいと思えるものがなく、それならば自分で身体によくて美味しい出汁パックを作ろうと奮起。その姿勢にはプロボクサー時代のファイティングポーズが目に浮かぶ。
「若い頃は食品添加物のことなど何も気にせず、好きなように食べていました。だけど今、出汁とかこういうものがいいんだなっていうところに帰ることができました。それは昔母親が作ってくれて、子供の頃に食べていた味の記憶があるからだと思います。」そう語る苗代幅さんの顔はお出汁のように優しくあったかい。
みんなが帰れる味の実家ともいうべき出汁パック。クリスマスの渋いチョイスとして、身体によいことをしてあげるのが一番のご馳走なのかもしれない。
幅屋の商品を見る
こちらも注目っ!
幅屋うどん
商品を見る